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今日は合格発表の日。エアコンの音しか聞こえない教室の机の上に電話機を置く。あと15分で10時。合格者が掲示される時刻だ。時間が長く感じられる。たまらず、ホワイトボードに立方体を書き問題をつくってみる。
自ずとこの張り詰めた瞬間から七年前の最初の電話が想起される。「先生、あかんかった……」「…… そうか、残念やったな」なかなか切ろうとしない電話に「また夕方電話するからな」そのあと彼女は大粒の涙を出して泣いたそうだ。この年は開塾以来最悪の4人の不合格者を出した。
今年も1.28倍の人気校に5人受験した。内申点は5人とも塾の合格基準点よりも下回っている。「右上がり曲線を描け」をスローガンに連日の4時間特訓。「基礎知識が身についてくれば実力は勉強時間に2乗比例する」という持論でもって3月がんばらせたつもりであるが、やはり心配だ。
10時が過ぎた。すぐに電話のベル。「先生、番号ありました。」「そうか。うれしいやろ。先生もうれしいぞ」「ありがとうございました」「おめでとう」幸先良い電話。実はこの生徒が一番心配だったのだ。前日、母親の話によると彼女は「やるだけのことはやったから」と言ってたそうだ。それから次々と電話がかかってきた。結果は公立高校全員合格。うれしい。
今夜は久しぶりに美酒に酔おう。冷蔵庫にあるサッポロドラフトワンで乾杯だ。
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